4/21/2012

仕事の話です。

日本製の釣り糸が弦に使えるという話は、以前から知っていましたが、ようやく試すことが出来ました。
写真はクレハという会社のフロロカーボンの釣り糸で、19世紀ギターや、リュートなどの古楽器の分野ではよく使われるそうです。

ウクレレは、当初からずっとGHSのブラックナイロン(青いパッケージ)を出荷弦にしています。(他のメーカーの物もいろいろ試してはいますが)
音が太い割りに適度に倍音が効いて雰囲気があるし、音程もいいし、どこでも買えるし、安いしで、言う事無しなんですが、3弦(.036")だけは、どうしてもテンションが他の弦と比べて低いので、いまいちなんですね。

ギター弦でも3弦は難しい様で、とぼけた音になるセットが多いのは、クラシックギターを弾かれる方なら周知のことと思います。(ちなみにギター弦の123弦とウクレレの123弦はだいたい同じ太さですので流用は可能です)
当工房のクラシックギターの出荷弦は、ここ数年ラ・ベラの2001(Classical)です。適度に艶があり、3、4弦の繋がりもいいです。有名で標準的な弦なのに、日本だとどこでも買えないのが不満ですが。
弦のテンション(張力)ですが、弦長と音の高さが同じであれば、重い弦の方が張力は高くなります。弦の材質が同じであれば、太い方が重いので張力が高くなります。高校物理でやります。

と言う訳で、今回試したのは、ウクレレの3弦用の太さのものです。写真左から、シーガーエース20号(緑)、シーガー26号、同30号(橙)です。()内の色はパッケージの色です。糸そのものはどれもクリア(透明)です。

釣り糸の番手は決まっています。ミリ/インチ
20号 0.74mm   .029"
26号 0.84mm   .033"
30号 0.91mm   .036"

ウチにあるサンプル用のウクレレ(concert390m)を使っての印象です。サンプルと言っても私が毎日ガンガン弾いてるのでもはや私物ですが。

20号(緑) 緑の最大の太さのもの。橙と配合が違うようで、ほとんど伸びないので、チューニングの安定は恐ろしく早い。テンションはGHSの他弦と比べるとちょっと低いが、音色の繋がりはいい。音は思ったより太く艶がある。余韻は長い。

26号(橙) 普通のナイロン弦よりはチューニングの安定は早い。テンションはGHSの他弦と比べるとほんのちょっと低いが、音色の繋がりはいい。音は太く落ち着いている。

30号(橙) 橙の最大の太さのもの。普通のナイロン弦よりはチューニングの安定は早い。テンションはGHSの他弦とほぼ同じ。余韻は短め。音は太いがぼやけ気味。
上に書いたラ・ベラの3弦(.041")よりはテンションは高いので、不満があるギターの3弦に使ってみるのもアリだと思う。人に依ってはウクレレのローGの4弦にも。

3種類に共通して感じたのは、張って2日くらい経つと印象が結構変わることでした。

弦と楽器の相性は実際に張ってみないと分からないので、「試してみたいが、60m巻を買うのはちょっとヘビーだな」とか、「一生分買ってもいいが、番手をどうしよう」という方は多くおられると思いますので、近いうちに別ページを作って、1m単位で販売する予定です。

メーカーHPを見ると、橙の20号以上は、22、24、26、30号とありますので、20と26があれば、20でちょっとだけ緩いなら22、26でちょっときついなら24という風に、自分に最適なテンションのものが見つかると思います。(この先、22、24号を仕入れる予定はありません)また、20号以下なら60m巻でもそれほどの出費にはならないと思います。(だいたい定価の半額で買えます)

今回のテストを経まして、これから作るウクレレには26号を「3弦用お試し弦」としておまけに付けることにします。 現在は出荷弦にしています。

追記、弦販売のページを設けました。